友人との食事や結婚式など、人が集まる場にはお酒が欠かせません。そこで必ずといっていいほど行われるのが「乾杯」です。
日本では古くから日本酒などのお酒を、神道の宗教儀式に取り入れてきました。しかしながら、現在一般的に行われている乾杯のスタイルはヨーロッパの乾杯を真似たものだと知っていますか?
ここでは日本の「乾杯」について、そのルーツや意味についてご紹介します。ヨーロッパの乾杯の意味とも比べることで、より乾杯が楽しくなるかもしれません。
日本の乾杯のルーツ
日本で欧米のような乾杯が行われるようになったのは、実はそれほど昔ではありません。1854年にイギリスと初めて条約を締結した時に日本で行われた会談で、イギリスから派遣されていたエルギン伯爵がイギリス式の乾杯を紹介したのが始まりだと言われています。
その時代の日本は、国外との外交を禁止する鎖国政策をしていたため、特例として認められた国としか国交をしていなかったのですが、この少し後の1858年から開国したことで西洋文化が急激に広まることとなります。その流れの中で、西洋式の乾杯も広がりました。
ヨーロッパの乾杯の意味
日本の乾杯のルーツはイギリスですが、古代ヨーロッパで乾杯は「神々や死者のために酒を飲む」という宗教儀式から始まったといわれています。
中世頃には、「悪魔祓い」の意味もあったと言われています。お酒に悪魔が宿ると考えられていて、その悪魔に憑りつかれないように乾杯をして悪魔を祓ったようです。
その他にも、乾杯で勢いよく杯を合わせることで、お酒が飛び散って互いのグラスに入り、それを飲み干すことで「お互いの盃に毒を入れていない」ということを確認しあったそうです。
日本の乾杯の意味
西洋式の乾杯は近代になってから日本に伝わりましたが、それまで日本に乾杯がなかったわけではありません。日本でも「神々や死者のために日本酒を飲む」という宗教儀式としての、乾杯は古くからあります。
日本酒は神に捧げる飲み物とされていて、神道儀式の後の宴会で飲む酒は「神様と同じものをいただく」、つまり「神様とひとつになる」というような意味がありました。
最近は、身近な人との気軽な飲み会では、1杯目はビールで乾杯することが多いですが、大切な宴会や儀式では今でも日本酒で乾杯します。
近年の乾杯の意味とマナー
近年では、乾杯に宗教的な意味は薄れてきており、一般的に行われる乾杯は宴会が開始する合図として行われます。
乾杯のマナーは細々としたものがいくつかありますが、その中でも知っておきたい日本独特のマナーがひとつあります。それは、目上の人と乾杯する時は自分の杯をその人より少し下げて合わせるというマナーです。
最近はマナーに厳しい人は少なくなりましたが、カジュアルな飲み会でもこのマナーが適用されることがあります。日本人と飲むときは、このマナーを知っておくと「あなたを敬っています」という意思を表明することになるので、良好な関係を築きやすくなります。
まとめ
ヨーロッパから取り入れた現在の乾杯のスタイルですが、今では日本人も「ヨーロッパから取り入れた」ということを知らない人が多いくらい日本文化に根付いています。居酒屋などお酒を飲む場所では、あちらこちらから乾杯の声が聞こえます。
日本の友人や、日本から来たゲストをもてなす時に、伝統的な日本酒での乾杯を用意しておくときっと喜ばれることでしょう。もちろん、日本人がいなくても、ご自身や家族、友人など大切な人と飲む宴会でも、日本酒で乾杯するといつもとは違う特別な雰囲気が味わえるでしょう。
【参考リンク】
たのしいお酒.jp ~ 意外に身近にあった!日本酒と神事の深~い関係
月桂冠 ホームページ ~ 乾杯の文化・酒杯のやりとりを通して育まれてきた独自のならわし
買取プレミアム ~ 意外と怖かった乾杯の起源!毒を???
ゼクシィキッチン ~ お酒を飲むときのお約束「乾杯」の起源
歴史・由来・意味の雑学 RSS Feed ~ 乾杯とは?その意味や由来・起源は?
しきたり.net ~ 乾杯に挨拶が必要?お願いするときの注意点!音頭をとる意味とは?
LIVE JAPAN (日本の旅行・観光・体験ガイド) ~ 日本の飲み会での振る舞い方
日本海酒販株式会社 ~ 「乾杯」の酒は日本酒!
TABIZINE~人生に旅心を ~ 外国人観光客から不思議がられる日本の居酒屋事情5選~本音はお酒の席で?
ananweb – マガジンハウス ~ 知らないと恥ずかしい!…「乾杯!」でグラスを合わせるのはマナー違反⁉