極東の島国で独自に発展した日本の伝統芸能は、世界からも注目されています。今回は「日本についてもっと深く知りたい!」という人にぜひ知っていただきたい、そんな日本の伝統芸能の世界をご紹介します。
日本の伝統芸能とは?
日本には伝統芸能が幅広くありますが、その定義は曖昧です。ただ一般的には、稽古などで身に付けた「芸能」のうち、歴史がありしきたりなどを重んじて伝承されてきた芸能を「伝統芸能」といいます。
伝統芸能の中には限られた人々にのみ受け継がれているものも少なくありません。また残念ながら受け継ぐ人が少なくなってしまって、既に廃れてしまった伝統芸能もあります。
伝統芸能の起源は?神様へ捧げたのがはじまり
医療や科学技術が発展していなかった昔の日本では、災害や疫病などが起きないように神様に祈る習慣がありました。その頃、神様は数年に一度程度、特別な時のみ降りてくると考えられていました。神様が降りてくる時に人々はお酒や豪華な食事でもてなしをしたのですが、その時に捧げた歌や舞などが伝統芸能のはじまりといわれています。
ひとくちに日本の伝統芸能といってもその種類は多様です。今回はその中でも特に海外で人気のものを3つご紹介します。
・茶道
茶道は、伝統的な様式を用いてお茶を点てて客人をもてなす儀式です。最近、世界でも人気の「抹茶」は、もともとは茶道で使われるお茶です。
茶道には、お茶のいれ方の作法をはじめ、茶器、茶室や庭のしつらえなども含まれます。細かい作法があり、日本人でもハードルが高いと感じることが多い茶道ですが、最近は観光地などで略式の茶道を気軽に楽しむことができる機会も増えています。
・歌舞伎
歌舞伎は、歌、舞などを取り入れた演劇です。昔、侍がいた時代に「かぶき者」といわれた派手な装いや動きをしていた人たちがおり、その人たちを真似た「かぶき踊り」が起源だといわれています。
もともとは主に女性が踊っていたのですが、風紀を乱すという理由で江戸幕府が女性の歌舞伎を禁止しました。それ以来、現在まで歌舞伎は男性の役者のみによって演じられています。
・日本画
日本画は、日本の伝統的な手法で描かれている絵画です。江戸幕府が鎖国を行ったことにより外国文化の情報がほとんど入ってこなかったため、日本画はそれらの影響を受けることなく独自に発展しました。
明治時代に日本が開国された後に日本画が突如として欧米に紹介されると、その独自性から外国の画家たちを驚かせることとなりました。マネやゴッホなど、日本画から影響を強く受け自身の絵に取り入れた画家も少なくありません。
ユネスコ世界無形文化遺産に登録されている伝統芸能
日本の伝統芸能は世界無形文化遺産に数多く登録されています。その中でもいち早く2008年に登録されたのは、独特なお面を着ける音楽劇の「能楽」、日本の伝統的な楽器の音楽に合わせて演じる人形劇の「人形浄瑠璃文楽」、そして「歌舞伎」です。このことから、日本の伝統芸能は世界的にも認められていることがわかります。
まとめ
今回紹介できた日本の伝統芸能はごく一部です。この他にも、伝承された演目を舞台で一人語りする「落語」や、地方独特の伝統芸能など、多岐なジャンルの伝統芸能が存在します。
古い言葉が使われていることもあり敷居を高く感じてしまう伝統芸能ですが、最近は若い人や外国人の方にも見てもらうための機会を設けているものも多くありますので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。
【参考リンク】
TABIDO ~ 日本の伝統芸能・文化に触れる【歌舞伎/相撲/茶道/日本画】
ワゴコロ ~ 日本の「伝統芸能」にはどんなものがある?
Manabi JAPAN ~ vol.01「芸能」ってなんだろう
花伝舎 ~ ユネスコの無形文化遺産になっている芸能
ワゴコロ ~ 人形浄瑠璃(文楽)とは?~大阪の町人文化に育まれた日本の伝統芸能~
平和市民公園能楽堂 ~ 能楽とは
むすびの会 ~ 日本の伝統芸能とは
文化庁 ~ 代表一覧表に登録された我が国の無形文化遺産