昔は肉を食べなかった!?日本食の歴史と健康食と言われるルーツについて

日本食は、日本の伝統的な食文化として2013年12月にユネスコ無形文化遺産に登録されました。食材の素材の味を生かし、季節ごとの旬の味を楽しめる日本食は、現在世界中の人々から注目を集めています。今回は日本食の歴史と時代ごとにどう変化していったかについて紹介します。

日本食で米が主食になったのは2,400年前から?

日本人の主食である米。米の稲作は、約3,000年前に中国の長江下流や朝鮮半島南部から日本に渡ってきた人達から伝わりました。日本の気候が稲作に適していることもあり、現在の福岡県や佐賀県に集団でやって来ました。
当時の日本人(縄文人)は、気候変動により自然の産物による食料確保が難しくなっていたこともあり、彼らから技術を教わり稲作を始めました。
稲作が日本全国に浸透したのは、約2,400年前頃です。この頃から米が主食となり、ご飯だけでなく、副菜と一緒に食べるスタイルが確立されました。当時の遺跡からは、稲や大麦小麦、大豆などの植物や桃、梅、柿などの果実、猪、鹿などの肉類、タイ、マグロ、貝類などの魚介類が多く出土されています。

肉食禁止令でビーフやチキンが食べれない?1,200年間肉食を避ける文化が始まった

西暦675年に当時の天皇が「肉食禁止令」を発布しました。厳密にいうと全ての肉が食べられなくなったのではなく、牛、馬、犬、猿、鶏の肉を食べることが禁止されました。その後約1,200年間、これらの肉食を避ける文化が続きました。
そんな禁止令がある中でも、日本食は発展していきました。約1,200年前には、天皇やその親族をもてなした最高ランクの料理が生まれました。それらは中国に影響を受け、大きな卓に数種類の小皿を乗せたものでした。魚や干物を切って並べ、酢や塩などの調味料を入れた小皿を並べて、好みの味に味付けして食べるという形式です。約900年前には、仏教の教えに不満を感じていた僧侶が中国で禅宗を学び、彼らが新たに日本で精進料理を伝えました。精進料理は肉食を断った植物性の食材で構成され、肉に近い味を工夫して再現した料理です。大豆粉や小麦粉、味噌、植物油などのインパクトが強い食材を使用し、味の濃い動物性食材の味に近づけています。料理人は僧侶で、精進という言葉は「修行する」という意味があり、僧侶が修行中に食べた料理になります。約450年前には、千利休によって茶道が確立されました。戦いに明け暮れた戦国武将が、精神の安定を求めて茶道の文化が広まりました。堅苦しい作法に捉われず、お茶を飲む前に楽しむ料理として、懐石料理と呼ばれる料理が生まれました。

西洋文化が入ってきたことで、肉食文化が始まる

約150年前には、海外からの侵入を防いでいた鎖国政策が廃止され、西洋文化が日本に一気に入ってきました。さらに肉食禁止令が廃止されたこともあり、牛鍋(すき焼き)やインド料理のカレー、フランス料理がもとになったコロッケなど肉食文化が始りました。ただし、牛肉はステーキではなく、鍋で調理する、インドカレーは、日本人に合うようにご飯と合わせてまろやかな味に変化させる、コロッケも日本人の味覚に合うようにジャガイモで作るなど西洋から入ってきた食文化を日本人好みの味に変化させていったことで、現在のバラエティー豊かな日本食へと成長していきました。

世界から日本食が健康的と言われるようになった理由

1,200年もの間、肉食を避ける文化が続いたことがきっかけで、日本食は大豆と米で植物性タンパク質を、魚で動物性タンパク質を補給する健康的な食文化が形成されました。そのため、現在もなお世界から日本食が健康的であると注目を浴びています。

まとめ

長い歴史を持つ日本食。肉食が禁止されていたことから、タンパク質を補給できるように様々な工夫がもたらされ、その結果、四季折々の旬な食材を使用した健康的で栄養価のバランスが高い食事スタイルが確立されました。また、食べる方に楽しんでもらいたいという気持ちから、料理の盛り付けも彩り豊かに、味も美味しく食べられるように調理されています。Bishamon Groupでは本格的な日本食を提供するレストランをカリフォルニアで展開しています。アメリカにいながらも、日本の文化と歴史に触れられたい方は、ぜひ確認してみてください。

【参考URL】
和食の旨み ~ 日本が世界に誇る和食、その歴史の歩みを要点解説
BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン) ~ 日本人なら知っておきたい和食の歴史~イワシ大好き紫式部、懐石料理は利休から
健康長寿ネット ~ 日本食(和食)は理想的な健康長寿食
献立四季報「春夏秋冬」味暦 RSS Feed ~ 日本料理の茶懐石とは【茶懐石料理の献立の仕組み】
米穀機構 米ネット 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構 ~ 伝わったのは縄文時代の終わりころ